エレガント経営学

最新の経営学に関するトピックを新聞、ビジネス誌ビジネス書から引用し、女性経営コンサルタントの視点でわかりやすく解説、コメントしております。

★経営分析「顧客数」

「顧客数は把握していますか」

経営分析を行うために使う数字は、財務情報と非財務情報があります。

財務情報は、前回説明しました決算書に出てくる数値です。
例えば、売上100万円、広告宣伝費50万円というような実績の数値です。

一方、非財務情報は、財務情報以外のすべての情報、数値です。
例えば、顧客数、見込み客数、お問い合わせ件数、クレーム件数、Webアクセス数などきりがありませんが、営業活動に関する情報ならすべて含まれてきます。

こういった様々な非財務情報のうち、特にスタートアップ時の会社が最も重視しなくてはならない情報は、

顧客数です。

今回は、どうして顧客数を見ていかなくてはいけないのか説明していきます。


スタートアップ時の会社は、とにかく売ること、売り上げを上げることに必死になっているかと思います。

そして、顧客数を把握していない会社が多いようです。

大手企業、大会社では、CRMと呼ばれる顧客管理システムを導入して、顧客のデータをすべてデーターベース化して、顧客の属性の細かいところまで逐次分析しているところが多いのですが、小さな会社では、事情がまったく違っているのです。

顧客の情報をExcelなどで管理するのは手間がかかり大変ですが、まずは、毎月の顧客数の増減は、きっちり把握していきましょう。

スタートアップ時は、顧客数を増やすことが何よりも重要です。

売上を上げる3つの方法は、

〔顧客数〕×〔平均単価〕×〔購買頻度〕

と言われています。それぞれの数値を上げていかなければなりません。
3つのうち、平均単価と購買頻度は、新規顧客を獲得後に、顧客との継続的なリレーションにより、上げていくことが可能です。
従いまして、まずは、顧客数を一気に上げることが得策なのです。

スタートアップ時は、顧客数が減ることはめったにないかと思います。
常に増加していくのが当たり前ですが、その増加率が下がったり、予測よりも増加していないようでしたら注意が必要です。

まずは、商品・サービスを見直してみましょう。

○商品・サービスの特性が明確で分かりやすいものか
○購入しやすい仕組み、システムになっているか
○価格が妥当な設定になっているか


〔顧客数〕=〔見込み客数〕×〔成約率〕

とも言えますので、見込み客のリストの見直しと営業の商談方法の見直しも行ってみるとよいかと思います。

★会計「決算書」

「決算書とは何なのか」

この2月中旬ぐらいから夏手前にかけて、会計事務所、会計関係の仕事に携わっている人にとっては、繁忙期を迎えます。
まずは確定申告から始まって、3月決算の会社の決算、税務申告などイベントが続くからなのです。

そんな会計イベントを会計士、税理士、経理業務の担当者などにすべてお任せしましょうではなく、経営者そしてビジネスパーソンも最低限知っておいたほうがよい会計知識をお伝えしたいと思います。

今回は、決算書についてです。


会社は、日々様々な経済活動を行っています。

商品・サービスを販売したり、商品を仕入れたりする営業活動。
広告費を支払ったり、従業員に給与を支払ったり、備品を購入したり、家賃を支払ったりします。
さらに、銀行からお金を借りたり、機械を購入したり、設備投資もしたりします。
これらすべてが、会社の経済活動です。

決算書は、これら会社の経済活動の結果を数字で表したものです。
つまり、決算書を見れば、会社のビジネスの結果が分かるのです。

決算書は、少なくとも年に1回は作成することが義務付けられています。
すべての会社は、税務署に税務申告するために決算書を提出しなけいればなりません。
さらに、上場企業は、株主に決算書を公開しなければなりません。

決算書は、会社の利害関係者に対して、会社のビジネスの実態を公表するためのツールなのです。
利害関係者が会社のビジネスの実態を正しく把握するために、決算書の数字は、ウソ偽りがなく、正しい数値でなくてはなりません。

そもそもなぜ難しい会計基準、会計用語や勘定科目名が存在しているのでしょうか。

利害関係者は、色んな会社の決算書を比較、検証しようとします。
決算書が個々の会社ごとで独自のルールで作られてしまうと、比較することができません。
つまり、利害関係者が複数の決算書を比較できるようにするために、共通のルールを設けたのです。

決算書の中には、
1.貸借対照表(B/S)
2.損益計算書(P/L)
3.キャッシュフロー計算書(C/F)
があり、この3つを特に主要財務3表と呼ばれています。

1.貸借対照表(B/S)とは、
会社の期末時点の財政状態を表したものです。
期末時点とは、3月決算の会社ですと、3月31日時点のことを言います。
つまり、3月31日時点で、会社がどんな資産(財産)を持っていて、どんな負債(債務)を負っているかを表しています。
さらに、貸借対照表を見ることで、会社の安全性を分析することができます。

2.損益計算書(P/L)とは、
会社の一会計期間の経営成績を表したものです。
一会計期間とは、4月1日から翌年3月31日までの1年間の取引のことです。
つまり、1年間で、売上がどれだけで、経費がいくらで、いくら利益が出たかを表しています。
さらに、損益計算書を見ることで、会社の収益性を分析することができます。

3.キャッシュフロー計算書(C/F)とは、
会社の一会計期間のキャッシュフローの状況を表したものです。
一会計期間とは、損益計算書同様、1年間の取引のことです。
つまり、1年間で、会社のキャッシュ(現金・預金)が何が原因でいくら増え、何が要因でいくら減ったかを表しています。
さらに、キャッシュフロー計算書を見ることで、キャッシュにフォーカスしながら、会社の安全性と収益性の両方を分析することができます。

★経営分析「売掛金」

「黒字倒産を防ぐには」

春に向かっている時期には、何か新しいことをやってみたくなりますよね。
春の季節に、起業を決心する人、会社を設立する人も多いようです。
しかし、せっかく起業をしても、事業を継続することが難しく、倒産する会社も増えているというのも事実です。

また、ビジネスを継続させる基本は、資金繰りです。
資金繰りがうまくできないと黒字倒産となってしまうのです。

今回は、黒字倒産のメカニズムについてお話したいと思います。


●黒字倒産とは

販売の時点で、売上として収益が計上されているのにも関わらず、入金のタイミングが遅いか入金させていないため、資金不足で、倒産となってしまうことです。

入金のタイミングが遅いとは、法人同士の契約などの場合、販売代金の回収を1か月後、2か月後などに設定している場合です。
さらに、入金前に仕入代金の支払いの期限が先に来てしまう場合、その時点で資金不足で仕入代金も支払うことすらできなくなってしまうのです。

入金がされないとは、いわゆる「貸倒れ」がおきたことで、顧客の経営状況が悪化して、いつまで経っても回収できないことです。


●黒字倒産を防ぐには

ビジネスを継続するには、資金繰りをよくして、黒字倒産を防ぐことが必要です。

黒字倒産を防ぐには、収益と入金とのタイミングラグがおきないビジネススキームを考えるべきだと思います。

収益と入金のタイミングラグがおきないビジネススキームとは

○前金制にする

○現金支払い(その場で支払い)にする

○仕入代金の支払いのタイミングを遅らせるよう仕入先にお願いする

○仕入先が顧客へ直接商品を発送して、自社で在庫を持たないようにする


また、貸倒れがおきないように、「売掛金」の残高を毎月チェックするようにしましょう。
残高がある場合は、得意先、入金予定日を必ず確認し、入金予定日が過ぎている場合は、現金預金出納帳とも照合させます。

入金がされていないと確認できたら、得意先に早めにコンタクトします。
毎月のチェックで、貸倒れのリスクを抑えることができるでしょう。

中小企業では、入金チェックをきちんとしていないところも多いので、プロセスを決めて、仕組み化していきましょう。

★士業「士業のセールス」

「営業をしなくても成約できるコツとは」

年が明けてこの1ヶ月間、何人かの経営者の方とお会いする機会がありました。
経営者同士の会話は、どうしてもビジネスに関すること。
その中でも、よく聞かれるのが、
「どうやってお客さんを見つけているのか?」

コンサルティング業のような法人相手の商売であり、かつ、モノを売る商売でない場合の「営業」に興味を持たれる方が多いのでしょう。

しかし、いつも私は、「営業をしたことがないんです・・・」とあいまいな回答をしてしまいます。
なぜなら、営業そのものが苦手でセールストークというものをやったことがないのです。

とはいうものの、成約につながるちょっとしたコツがあることに最近気づいてきました。

今回は、コンサルタント、士業の人が営業をしなくても成約できるコツをお話していきたいと思います。


「営業」という意味には、「マーケティング」と「セールス」が含まれていたり、「セールス」のことだけを「営業」と言う場合も多いと思います。

「マーケティング」とは、見込み客を集めることです。
特に、コンサルタント・士業は、見込み客を集めるだけでなく、見込み客との信頼関係を築いていくことが大変重要です。

この見込み客との信頼関係の築いていくマーケティングの方法は、Webを使う場合と対面の場合があり、両方とも実践していく必要があります。
詳細は、別の機会に取り上げていきたいと思います。

「セールス」とは、契約することです。
コンサルタント・士業の人は、ここで、決して売り込みをしてはいけません。
お客様が問題としていること、必要としていることに対して、提案していかなければなりません。

「マーケティング」のほうがより重要ではありますが、「セールス」はほんの少し気をつければ、成約率がアップします。

成約率をアップさせる「セールス」のコツは、

1.レスポンスが早い
  →面談日程を決定する際の連絡はスピーディーに

2.親しみやすさ
  →リラックスして、自然な会話をする
  →話しやすい雰囲気で、聞き役になる

3.誠意を示す
  →あらかじめお客様のHPを見て、会社の事業内容、業界分析をしておく
  →お客様からの質問に答える

4.分かりやすいサービス内容の説明
  →サービス内容は具体的に詳細に説明する
  →料金も必ず明示する
  →自社の強みを説明する

5.売り込みをしない
  →その場で、お客様に決断させようとしない
  →お客様のニーズにいかに対応できるかを提案する
  →ニーズに対応できない場合は、できないことも正直に言う