産業のサービス化
ITの大衆化が後押し
産業の発展は人手による生産が中心の労働集約型(農業)から、工場や機械などの生産手段を集約した資本集約型(製造業)、そして知識集約型(情報・サービス業)へとシフトしてきた。
1990年から2004年までの15年間で、産業全体に占める製造業の付加価値の割合が下がっているのに対し、サービス業では90年の17.1%から2004年には23.1%と6.0%ポイント上昇した。こうした傾向は「産業のサービス化」と呼ばれ、商品の付加価値の源泉が土地や資本から、情報へと変化していることを示している。
産業のサービス化には社会環境の変化が大きな影響を及ぼしている。高度消費社会が教育やレジャーを、高齢化社会が健康・福祉などのサービスを生み出している。女性の社会進出が料理や育児などのサービスを外部に求める傾向を後押しし、企業は経営資源の効率化から業務の外部化を求める動きを強めている。
サービス産業全体もアウトソーシング需要で急拡大している。特に対事業所向けのサービスはこの15年間で、1.7倍になった。企業のシステム・ソフト開発やビル管理業務が外部委託され、サービス業としてカウントされ始めたことも需要を押し上げた。
工業社会から情報社会への移行に伴い、「つくる産業」より「つかう産業」が大きな利益を上げるようになってきた。今後、数十年間はこうした傾向がさらに強まるという見方が有力だ。ITの大衆化が進むからである。
サービスの形も変化し、ハードウェアやソフトウェア中心から、顧客の要求を満たすサービスや情報の価値を高めるコンテンツビジネスへと変化していく。今後は文字・色・音声・画像・映像を合わせる形で、人間固有の感性・知識・知性に訴える商品や身近なニーズに応える製品・サービスが続々と登場してくるだろう。