エレガント経営学

最新の経営学に関するトピックを新聞、ビジネス誌ビジネス書から引用し、女性経営コンサルタントの視点でわかりやすく解説、コメントしております。

MBO

MBO(マネジメント・バイアウト)

経営陣が企業や事業部門を買収して独立するM&A(企業の合併・買収)の手法。買収の受け皿として設立する会社が金融機関や投資ファンドの投融資を受け、対象となる企業や事業部門を買い取る。経営者が自ら大株主となることで経営の自由度が高まる。1980年代に米国で盛んになり、日本では2000年ごろから目立ち始めた。

すかいらーくは経営陣による企業買収(MBO)を実施し、株式を非公開にする方針を固めた。
ファイミリーレストランなどの既存事業の見直しで一時的に大幅な減益が避けられないとみて、株価に左右されずに事業再構築を進めるために株式非公開に踏み切る。買収リスク回避の狙いもある。

『2006年6月8日 日本経済新聞』


【解説】

MBOとは、企業買収手段の1つで、企業や事業部門の経営者や幹部社員が、事業の継続を前提として既存オーナー(株主や親会社)から株式もしくは営業資産を買い取って、経営権を取得することを言います。

子会社の経営陣や事業部門の責任者が分離・独立を行うケースと、中小・中堅企業の事業継続に使われるケースに分けられます。破たん企業の事業再生に利用される場合もあります。

大企業が経営のスリム化を志向して“選択と集中”を推し進めようとした場合、本業とシナジーの薄い事業や投資優先度が低い事業を切り離そうとしますが、その際、第三者でなく信頼の置ける“仲間”に売却するという安心感がメリットの1つだと言えます。

関係性の維持や買い戻しの可能性を考慮して、売却側が全株式を手放さず一部株式を継続保有したり、多様な新規株主を参画させたりと、資本政策の自由度が高いことも利点です。

買収する経営陣側にとっては、親会社・所属会社の“縛り”がなくなり、機動的な経営が可能になります。また、自らが株主となるため、成長へのインセンティブが強まります。

ほとんどの場合は、事業の継続性が重視され、人材や取引先、商権などの経営資源も一括して引き継がれるので、従業員にとっても雇用が守られ、そのまま今までの会社風土の中で働くことができます。

企業を買い取る資金は経営陣だけの出資では不足するケースが多いため、投資ファンドと共同で、金融機関からの融資と併せて補うことが一般的のようです。買収時点で経営陣が資金を準備できない場合、ストックオプションによって将来の経営陣持ち分を確保するという方法もあります。その場合、出資者は、買い取った企業の価値が向上することによる株式公開・売却のキャピタルゲインを得ることができます。

買収資金に銀行融資が含まれる(レバレッジが付いている)場合は、LBOと言います。一般に、LBO案件はMBOより規模が大きいようです。

日本においては、1997年頃から、銀行の不良債権処理、ITバブル、企業の連結決算重視などの背景により、MBO件数、1件当たりの買収金額ともに増えてきているようです。

(IT情報マネジメント用語事典より抜粋)